既存エンタメ・メディアの先入観に囚われず、音声メディアの可能性や課題に関し、スマートかつビビットな視点で言及・選考ができる感性を持つ方に、選考委員をお願いしています。
  • 石井 玄 
    株式会社ニッポン放送 エンターテインメント開発部 プロデューサー
    1986年、埼玉県生まれ。2011年にラジオ番組制作会社に入社し、主に深夜ラジオ番組の制作を担当。2020年ニッポン放送入社。生配信舞台演劇ドラマ「あの夜を覚えてる」などのイベントや「オードリーのオールナイトニッポン」などの番組グッズ、「深解釈オールナイトニッポン」などの書籍をはじめ、様々なエンタメ・コンテンツのプロデュースを担当している。著書にエッセイ「アフタートーク」(KADOKAWA)がある。
大賞
  • 1. 有田脳
    2. 結婚したい乙女たちのアダルトーク
    3. Matthew’s Matthew マシュー南の部屋の中のマシュー
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. 長州力の愛のラリアット
    2. 仲野太賀のポッドキャスト
    3. 結婚したい乙女たちのアダルトーク
ベスト エンタメ賞
  • 1. モノガタリ by mercari
    2. 無限まやかし【コンテンツ語りラジオ】
    3. 奇奇怪怪明解事典
ベスト コメディ賞
  • 1. 有田脳
    2. 真夜中のテレフォン
    3. 田と南のAlways Together
総評
  • 3年連続で選考員を務めさせていただいておりますが、毎年のようにレベルが格段に上がっています。ラジオ局の社員として、「ラジオを比べて」という感覚が、去年まではありましたが、今年からは特に「ポッドキャスト」として、文化ができていて、独自性もあり、ラジオとは全く別の物として発展・進化していると感じました。 音のコンテンツとしては、どの作品もクオリティは申し分なく、それだけに選考は非常に難したったです。
    取り巻く環境や、ビジュアルデザイン、宣伝の方法、取り組みとしてどうなのか、ブッキングの妙、など単純なクオリティだけでないところで評価しつつ、最後は好みで決めました。
    また、例年通り「音だから面白い」という点は重視しました。映像やライブなどで視覚的にした方が面白くできるものではなく、音のみだから面白いものを高く評価させていただきました。

    クオリティは申し分ないところまできているので、音声メディアの次の課題は「マネタイズ」です。収益化構造をつくることができるポッドキャストが増えるように、これからも考えていきたいです。

    審査のルール上、投票が出来なかったですが、自分の関わっているノミネート作品「佐藤と若林の3600」「オークラ 質問のコメディ」は間違いなくおもしろいのでおススメです。
    他のノミネート作品もどれも面白いです。是非、聴いてください。
    聴く人を増やすの大事ですが、喋る人、作る人を増やすのも大事ですので、聴いて面白いと思った方は、次は喋ってみたり、作ってみたりしてほしいです。
    多分あなたが、想像しているより簡単で、想像しているより楽しいです。
  • 大島 育宙 
    芸人
    XXCLUBのネタ作り・ボケ担当のほか、映画やドラマの評論・考察をYouTube、TV、ラジオ、雑誌で展開。XXCLUBとしてニッポン放送「お笑い有楽城」優勝。文化放送「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」水曜コメンテーター、「週刊フジテレビ批評 ドラマ辛口放談」コメンテーター、他。
大賞
  • 1. 有田脳
  • コンビでやっていたあの伝説のラジオとは全く違う、現在の有田さんの引き出しの多さと瞬発力が堪能できる贅沢さに加えて、「五十音順のトークテーマを無茶振りされて即興で答えていく」というフォーマットの強さを毎回感じます。「ん」まで行ったら有田さんが「あ」からもう一周してもいいし、「〇〇脳」という形式を別のトークの達人が引き継ぐこともできる。汎用性もサステナビリティも高い、完成された企画だと思います。                                                                    
  • 2. 聴漫才
  • 一流の腕のある漫才師たちの「コンビのラジオ」とも「寄席出番の漫才」とも「営業の出番」とも違う、今まではそこになかった新しい「コンビの30分」が生まれているのに驚きました。漫才の鉄板ネタを披露していても、無観客でラジオブースのようなところで録っているだけで全く違うものになる、という発見がありました。活き活きしているコンビと明らかに嫌々参加しているコンビがいるのも選ぶ楽しみが生まれて面白いです。兎さんに何も言わずに堂前さんが新ネタをずっとやったロングコートダディさんが最高でした。トータルの感想は「やっぱ吉本って凄い!」。 
  • 3. マシュー南
  • ゲストによってテンションやスタンスを微調整しつつキャラクターは貫く、マシュー南さんのホスト力の高さ。画が見えないからこそ、小道具の仕込みなどで盛り上げるホスピタリティ。それでもグルーヴする回とそんなにしない回があるのが愉快です。なんか空回りしてるかな、と油断させてポロッとここだけの話を引き出しちゃうのもさすが。俯瞰で見ると、「肩の力を抜いて省エネでニッチに、細く長く」というPodCastの主流とは一線を隠す「極端にテレビ的な podcast」というチャレンジだったと思います。毎週ずっと続けるのは難しいとわかりつつ、クール単位でもいいので復活してほしい番組です。                                          
  • 総評:
  • ノミネートされた5番組はいずれも「podcastって何?」「何から聴けばいいの?」と言う友達に、1本目として教えられる、間口となり得る番組です。こういった他のエンタメとも地続きな王道番組が、これからもオリジナルpodcast界を牽引していくでしょう。

    そんな中でも、既存のテレビ、ラジオ、YouTube、舞台上のネタなどでは聴けない、Podcast ならではであろう独特な音空間が生まれているものを選んでみました。

    アダルトークのお二人は自己や他者への冷静な分析力と、遊びや出逢いに注ぐ情熱のバランスが魅力で、人気なのも納得です。率直に言うと、異性愛前提の恋愛番組が今の時代にあるべきなのか悩んだ、というのが上位3位に入れられなかった唯一の理由です。個人が選択して1人で聴くものなので、自由でいいと思いつつ、自分の中でもまだ結論は出ていません。すみません。PodcastじゃなくてもYouTubeでもTwitterでもどこでも人気出ちゃう2人だと思います!

    佐藤さんと若林さんは目立ちたくなさそうだったので入れませんでした。
    目立たない方が長く続いてくれそう。本気でそう思っています。
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. 仲野太賀
    2. 長州力
    3. 今ファミレスにいるんだけど
  • 総評:
  • 1位 仲野太賀さん
    ネットを怖がる国民的俳優がSNSの代わりにやるpodcast、というだけで建て付けが強固に出来上がっています。
    これからもぐんぐん活躍していく人なので、トークのネタは尽きない。
    忙しいスケジュールでも生放送のラジオじゃないし、オンエア時刻が厳密に縛られてるわけでもないので、どこかで隙間時間を捻出して録ればSNSと同じ機能を果たせる!

    これをお手本に、SNSをやらない芸能人がオンラインサロンやファンコミュニティではなく「podcast」でファンとの接触を作るのが流行るのでは?と思えるくらいスマートな、演者と制作者とリスナーの三方みんな嬉しい素晴らしい番組です。仲野太賀さんがネットや炎上を恐れている割に、オールナイトニッポン1部感のある、至って王道な内容なのも面白いです。芸能人が自分をいつどこへ出すか、選択しやすくなっている時代の象徴のような番組。


    2位 長州力さん
    「聞き取りやすさ」「テンポ」がラジオの基礎だ、というのは思い込みだと気づかせてくれた番組。中心に吸引力の強い存在があり、こちらに傾聴の姿勢がありさえすれば、スムーズな音でなくても楽しめることを教えてくれた凄い番組です。最初のシークレットゲストの人選も必然があってスカッとしました。長州さんと武藤敬司さんがステーキに夢中になって無言になり、ゲストの長瀬智也さんが気を遣ってトークを回しているところなど、貴重な面白シーンを何回も聴いてしまいます。


    3位 今ファミレスにいるんだけど
    オープニングも自己紹介もエンディングもなく、本題に始まり本題のまま終わる。
    みんなこれができるならこれをやりたいんじゃないでしょうか。
    すごいことをやってると思います。
    こういうタイトルだと「ファミレスでこんなにハキハキ喋らないでしょ」と意地悪を言いたくなる中身なことが多いのですが、藤原さんと日高さんは本当にボソボソとオフのテンションで喋っていて、看板に偽りなしでした。お二人とも有名人で発声のプロなのに、一般の人の自主ラジオのような雰囲気でやっていてずるいです。


    恋愛や結婚についてのぶっちゃけトークにおいては自虐や自己卑下の発話がされがちですが、アダルトークのお二人はセルフラブ(自己肯定とも自己愛とも違う、この表現しか今のところハマらない)のマインドがしっかりしているように聴こえます。聴いていてネガティブな気分にならないのが人気の理由なのかなと思いました。
ベスト エンタメ賞
  • 1. Festival Junkie Podcast
    2. 奇奇解解明解辞典
    3. モノガタリ
  • 総評:
  • ※自分が運営・出演している「無限まやかし」以外から選出。

    1位 パーソナリティの津田昌太朗さんの喋りが達者でびっくりしました。大手のFMラジオを聴いているような気分になれます。おそらくかなりの少人数で世界のフェスを飛び回っているのだと思いますが、その体験のアウトプット先としてpodcastはベストな選択だと思えます。音楽に詳しくなくても、流し聞きしているだけでも世界のフェスの匂いを感じられる、凄い音声コンテンツだと思います。


    2位 立論もべしゃりも脱線も、すべてが堂に入っていて、今のpodcastブームの先駆者の風格を感じます。どの回から聴いても、途中から聴いても、高い水準の歪んだ視点と語彙が溢れている品質保証っぷり。後進は目標にこそすれ、真似はできない境地に入ってしまいました。絶対にtaitanさんと玉置さんに憧れてるんだろうな、という喋り方の二人組が東京のシーシャ屋などに増殖しています。


    3位 縛りが厳しいテーマにもかかわらず、一流の作家の手で面白い短編小説が揃っているのがまず偉業です。これだけで「ありそうでなかった広告の新しい形」として充分豪華なのに、声優や演出家によって「音声コンテンツ」に昇華され、広告のにおいも脱臭され、馴染みやすくなっている。小説の作風に合わせた声優のキャスティングも絶妙で、文句の付け所がないです。
ベスト ナレッジ賞
  • 1. 経営中毒
    2. アドバタラジオ
    3. News Connect
  • 総評:
  • 今回の選考を機に、他のビジネス系のpodcastもいろいろ聴いてみたのですが、可能性は大きいもののまだまだ難しい分野だと実感しました。ビジネスマンはビジネスマンがする雑談は聴き慣れ(聴き飽き)ているし、ちょっとした情報であればSNSのタイムライン以上の専門性がないと意味を持ちにくい。成功者やデキる人が仕事について語っても、過去の自慢話や生存性バイアスがかかったトークになってしまうとリスナーの参考にはなりにくい。YouTubeやTwitterなどで声の大きい「有識者」とは別のアプローチで、ゆっくり丁寧にナレッジを発信し、トークのプロではない人が自身の考えや体験を「音声コンテンツ」という段階まで仕上げるにはかなりの工夫が必要で、まだまだ開拓可能性が大きい分野だと思います。

    そんな中でも野村高文さんの手がける番組は、音声コンテンツとしての仕上がりが飛び抜けていて、ナレッジ領域podcastのノウハウを今まさに野村さんが先頭で組み上げているところなんだなと感じています。

    ノミネートされた3番組の中でも「経営中毒」は、話し手と聞き手の対等さが圧倒的に心地よいです。成功や失敗の体験を基に、どんな業種の人でも参考になるレベルまで教訓やマインドを分解しているので、広く届くのも納得です。

    「News Connect」のフォーマットも実験価値があると思います。野村さんが毎朝これを自作していると思うとそのストイックさに驚愕します。地上波ラジオでは取り上げられなさそう、でもSNSだけだと理解が深まらないトピックを選定し続けるバランス感覚も流石だと思います。

    「アドバタラジオ」は良い意味で、ビジネスマンとしてではなくオタクとして喋っている温度がちょうど良く、持続可能性を感じます。広告は比較的語りやすいし聴きやすいジャンルなのか、最近広告をコンテンツとして語る番組が増えつつある流れも面白く見ています。
  • 佐久間 宣行 
    テレビプロデューサー
    1975年生まれ。福島県いわき市出身。1999年テレビ東京に入社。『TVチャンピオン』などで経験を積みながら、 入社3年目に異例の早さでプロデューサーとして抜擢される。テレビ東京のプロデューサーとして「ゴッドタン」「あちこちオードリー」 「ウレロ☆シリーズ」「キングちゃん」「ピラメキーノ」などを担当。2019年4月からラジオ「佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)」の パーソナリティを担当。2021年3月末にテレビ東京を退社し、現在フリーのテレビプロデューサーとして多方面で活躍。 3月にはNetflixにてオリジナルバラエティ「トークサバイバー」を配信。4月には初のビジネス書「佐久間宣行のずるい仕事術」を出版。
大賞
  • 1. Matthew’s Matthew
    2. 佐藤と若林の3600
    3. 有田脳
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. 石原希望の超HOPEちゃんラジオ
    2. 仲野太賀のポッドキャスト
    3. 結婚したい乙女たちのアダルトーク
ベスト エンタメ賞
  • 1. モノガタリ by mercari
    2. 無限まやかし【コンテンツ語りラジオ】
    3. 聴漫才
ベスト コメディ賞
  • 1. 真夜中のテレフォン
    2. オークラ 質問のコメディ
    3. 有田脳
総評
  • どれも面白かったです。大賞はこの人にしかできない内容+クオリティの強さ、
    ベストパーソナリティ賞は発掘というか、この人こんなに話せるんだと言う驚きがある人を選びました。

    またベストエンタメ賞で選んだモノガタリはキャストと構成、演出も含め、レベルが非常に高く、
    ベストコメディ賞に関してはどの作品も他の音声コンテンツでは味わえない感覚を聞いてる間感じさせてくれるのが良かったです。
  • 関 龍太郎 
    Google Japan/Creative Director
    横浜出身。ニューヨーク大学卒業後、電通に入社。クリエイティブとしてデジタル、コンテンツ、メディアをミックスしたコミュニケーションソリューションの企画を中心に業務し、電通タイランドへの赴任を経て、2020年Google 入社。Googleの持つ様々なテクノロジー・プラットフォームの紹介と、それらを活用したコミュニケーションの立案・制作を主な業務としている。
大賞
  • 1. 佐藤と若林の3600
  • リスナーに対して厳しくSNS統制を求め、それを信じることで、ANNで話せなかったトピックスを敢えて話しリスナーのリテラシーと秩序を試すストロングスタイルな番組。それは、かつて深夜ラジオにあった自由な雰囲気を実現できる次の場所を探すメディア実験のようでした。
  • 2. 聴漫才
  • パーソナリティとリスナーという関係性以外でも、音声ならではのコンテンツはまだまだ作れるという証明の様なコンテンツ。時間の制限がない、映像が必ずしもなくても良い、そして「場」が求められている。ひょっこり三方良しのまさにポッドキャスト的なコンテンツで、すばらしい発明だと思います。
  • 3. 結婚したい乙女たちのアダルトーク
  • SNSや動画プラットフォームの隆盛で、必ずしもメジャーでない人々や、いわゆる一般人がメディアやコンテンツを持つことのハードルが一気に下がったのは自明ですが、ポッドキャストも例外ではありません。この番組は一般的なメディアではとりあげにくいトピックスを、あえて?とんでもない角度で語り、さらにそれをこっそりしかし堂々と聞かせてくれるような背徳感のある体験が最高でした。
  • 総評:
  • 初めて音声コンテンツに触れたのは、中学受験を決めた時だったと記憶しています。当初はただの興味本位でしたが、すぐ魅力に取り憑かれ、次第にハマり、気がつけば沼から抜け出せない一人のハガキ職人が生成されていました。代償として、受験に失敗することになるのですが…

    ともあれ、深夜ラジオとリスナー、特に思春期の少年少女の間には、特別な関係が構築されがちだと感じます。DJではなくパーソナリティーと呼ばれる著名人たちが、余所行きではないリアルな言葉で語りかけ、本音をぶつけ、リスナーとのやり取りを楽しんでいる。

    パーソナリティとリスナーは、著名人と一般人という立場を超え、手紙やメールを通じてではありますが、そこで紡がれる独特な関係性は多くの少年少女を、そしてなによりもパーソナリティを救ってきたのではないでしょうか。

    しかし、昨今のキリトリ・書き起こし記事などの影響なのか、自主規制の波が襲ってきたからなのか、時々、深夜ラジオに窮屈さを感じることがあります。私が言うのもなんですがネット社会の弊害です。しかし、だからこそ、自由であり、いまだ秘匿が守られているポッドキャストにあの頃の深夜ラジオにあった身悶えを期待し、可能性を感じてしまうのです。

    …などとエラそうに書いてしまいました、すいません。ともあれファイナリスト5作品はそれぞれ音声メディアならではの良さ、特にリスナーへの信頼を感じました。みんなに知ってほしい!という気持ちと、どうかバレずにこっそりこのままうまくやってね!という複雑な感情に苛まれながらの講評はひどくしんどく、楽しい時間でした。
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. 結婚したい乙女たちのアダルトーク
    2. 今ファミレスにいるんだけど隣の席の女子が話してる内容がジワジワきてるんだが共有してもいいですか?
    3. 石原希望の超HOPEちゃんラジオ
  • 総評:
  • 音声コンテンツの良さのひとつにこっそり楽しめる。ということがあると思います。映像や画像が必須のコンテンツだと自分以外の誰かに(バレる)可能性がゼロではありません。しかしながら、音声コンテンツはイヤホンをしてしまえば、自分が聞いているコンテンツの秘匿はほぼ守られます。なんてクローズなのにオープンなメディアでしょう。ファイナリストの作品はそれぞれテーマは違うものの、本当に仲良しでないと聞かせてもらえないような語り口で、距離感も近く感じられる作りと内容だったと思います。まさにこっそり聞いてニヤッほくそ笑んでしまうような魅力に溢れた作品群でした。
ベスト エンタメ賞
  • 1. モノガタリ by mercari
    2. 奇奇怪怪明解事典
    3. 無限まやかし【コンテンツ語りラジオ】
  • 総評:
  • 個人的な経験で恐縮ですが、学校や職場で本当の意味で趣味趣向が合う仲間に出会えることは本当にレアケースでした。当然、その内容がマニアックであればあるほど難しくなっていきます。その点、ポッドキャストはバラエティに富んだ、ニッチなコンテンツ、たとえばニュース、政治、犯罪、コメディー、エンターテインメントなど、さまざまな番組が存在します。つまり、興味が何であれ、それに応えるポッドキャストが存在するはず、ということです。さらにポッドキャストの番組は配信者の趣味興味特技に全振りでニッチなトピックを掘り下げて探求されていることが多く、他では得られない詳細さと専門知識を得ることができるのも魅力だと思います。広く浅くもいいですが、狭くても深い、自分好みなコンテンツにであってしまったら沼にハマることは必至。そんな経験をしたい人にとってこのカテゴリーは宝の山に見えるのではと思います。
ベスト ナレッジ賞
  • 1. みんなのメンタールーム
    2. 経営中毒 〜だれにも言えない社長の孤独~
    3. News Connect 〜あなたと経済をつなぐ5分間〜
  • 総評:
  • 私自身は決して勉強が得意なわけではありません。それでも知的好奇心を刺激される話を聞くのは大好きです。特に自分が普段接している領域と離れていればいるほど、発見も楽しみも多いです。そんなことを考えると、ポッドキャストは知識を深め、自分の考え方の選択肢を増やしていくためのインプットとしては絶好のメディアでもあると思います。門外漢で複雑なトピックであっても、たとえ興味本位でその扉を叩いたとしても、これまで考えもしなかったような洞察や視点にであえるコンテンツに出会える可能性は否定できません。バラエティに富んだコンテンツが、自分の都合のよい時間に摂取できるポッドキャストがここまで盛り上がってきている現代、勉強したいけど時間作れない、興味のあるものが見つからない、なんて言い訳は通用しなくなっていきそうだなと感じました。
  • 高須 光聖 
    放送作家
    ダウンタウン松本人志に誘われ放送作家を始め、『ガキの使いやあらへんで!!』『ロンドンハーツ』『水曜日のダウンタウン』『IPPONグランプリ』大晦日の『絶対に笑ってはいけないシリーズ』だけではなく『ドキュメンタル』『REDchair』など配信コンテンツなども手がける。その他にもドラマや映画の脚本、ラジオのパーソナリティー、渋谷区の開発を初め、京都や島根などの地方創生の仕事など多岐にわたる。
大賞
  • 1. Matthew’s Matthew マシュー南の部屋の中のマシュー
  • 今まで見たことのない三谷幸喜さんのキャラが出ていて、とても面白かった。マシューの軽やかないじりや、展開がとても楽しめました。
  • 2. 佐藤と若林の3600
  • キングオブコントとショーレースを芸人のプロ達はどう見ているのかが分かって、とっても興味深く聴けました。
  • 3. 結婚したい乙女たちのアダルトーク
  • 女性達の包み隠さずに話されている会話がとても生々しく、気づいたら最後まで聴いてました。
  • 総評:
  • あまり素を出さない有田君の育児や引退などの話はとても貴重で面白かったが、上位作品は意外な三谷さんの素顔や、プロが見たキングオブコントの話など、あまり聞いたことのないレアな話が聴けたことにプラスして、ゲストへの興味やテーマ性も良かったので、このような順位にさせて頂きました。3位の人たちはあまり知らないので「なるほど今の女性達ってこんなこと思ってるんだ」とリサーチ気分で聴けちゃいました。
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. 仲野太賀のポッドキャスト
    2. 今ファミレスにいるんだけど隣の席の女子が話してる内容がジワジワきてるんだが共有してもいいですか?
    3. 長州力の愛のラリアット
  • 総評:
  • あまり仲野くんのキャラを知らなかったので、こんなに面白い人だったんだと、ともて好感を持って聴けました。知らない分だけハードルが下がって聴けたことも良かったかもしれませんが、パーソナリティーとしての力を感じました。
ベスト コメディ賞
  • 1. 真夜中のテレフォン
    2. ラランドの声溜めラジオ
    3. 福田と南のAlways Together
  • 総評:
  • とろサーモンの久保田君が、昔の元カノに電話する企画がとてもリアルで、テレビでは見られない彼のウエットで、人間くさい久保田君の話が聴けて面白かった。これはまさに企画勝ちだと思います。二位のラランドは、二人のネタ同様、女性上位な話の展開と、それをのらりくらりとかわしながら対応するニシダ君とのやりとりがとても面白かった。この力関係がなんともいいんだろうな。三位の福田さんと南さんは、二人の会話のやり取りの温度が低く、最初は「ん?」と思うが、実は聞いているうちにリスナーが低音火傷をしていたみたいな不思議なやりとりが心地よかった。
ベスト メディアクリエイティブ賞
  • 1. 聴くドキュメント72時間
    2. アンガールズのジャンピン
    3. スタンド・バイ・見取り図
  • 総評:
  • 聴くドキュメント72時間のベスト10は圧倒的にNHKのオンエアーを見ていた方が面白く感じられたと思いますが、ただ企画の目線としは面白かったと思います。山田五郎さんの話が個人的に好きなので、特に面白く感じられました。
  • 秀島 史香 
    DJ/ナレーター
    1975年、神奈川県茅ヶ崎市出身。慶應義塾大学在学中にデビュー。ラジオDJ、映画、TV、CMのナレーション、朗読、プラネタリウムや美術館の音声ガイド、JAL機内放送など、声の表現があるところで活動中。現在FMヨコハマ「SHONAN by the Sea」、JFN系各局「Pleaseテルミー!マニアックさん、いらっしゃ~い!」、テレビ東京「二軒目どうする?〜ツマミのハナシ〜」などに出演中。ニッポン放送『文豪ROCK!~眠らせない読み聴かせ 宮沢賢治編』で令和元年度文化庁芸術祭「放送個人賞」受賞。著書に『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則』『なぜか聴きたくなる人の話し方』(共に朝日新聞出版)。
大賞
  • 1. 聴漫才
  • まるまる30分という長尺で、フリートークではなくネタを!という舞台。だからこそ感じられる芸人それぞれの個性と力量。30分で一本のネタをトコトン重ねてラストに向けて高めていく笑い飯のようなストロングスタイルもいれば、囲碁将棋のように小ネタを流れるように繰り出してくる軽やか系も楽しい。普段は動きの漫才が多いと語る霜降り明星も、せいやさんの声真似、効果音、BGM再現も光っていました。良い映画や本を楽しんだ後のように、誰かと語り合いたくなる。加えて「いかにも!」な出囃子と拍手の演出がどこにいても、強めのグリップで臨場感あふれる劇場のへと引き込んできます。これが無料で聞けるっていい時代がきましたね。                                                                   
  • 2. Matthew's Matthew マシュー南の部屋の中のマシュー
  • 久々にイギリスから帰国したマシュー氏の名ホストぶり。ゲストに敬意を表しながら、その人が一番輝く愛のあるツッコミ。「あの、なんか聞いたんですけど…」とさりげないけどしっかりその人の盛り上がりボタンを押さえたフリ。大御所ゲスト相手にふざけてはみるけど、「〇〇でいらっしゃるのね」などという言葉使いには常に品があり、ノーストレス。松浦亜弥さんをはじめ、YOUさん、南野陽子さん、片岡愛之助さん、三谷幸喜さん、博多大吉さん…みなさん心の底から楽しんでいる様子。気づいたら「そんなことまで?」と、自らサービス精神を発揮してしまうのが彼の部屋の居心地の良さ。良質な会話の中で、相手の本音が伝わってくる魔法は、「音声だけ」でより一層際立ってくるものですね。
  • 3. 佐藤と若林の3600
  • 地上波ラジオでなかなか耳にしないワードもさらっと出てくるところも含めて、お互いの日頃のあーだこーだの愚痴がリアル。それがエンタテイメントとして楽しめるのはやはり二人のうまさ。さらに賞レースの楽しみ方など、同業者だからこその二人のプロ視点が面白い。内輪話ではなく、「暗転を多用しすぎだった。出捌けも気になった」など批評的な指摘もありながら、しっかりオチをつけて着地させる構成力はお見事。
    こんなところを見ているんだというポイントや、喋る際に大切にしている価値観などもしっかり言語化されていくので、興味をそそられます。   
  • 総評:
  • ここ数年、叶姉妹や氷川きよしさんなど国民的スターが参入してきましたが、ますますポッドキャストへの期待は高まり、ついには有田さんまで!!マスでビッグな世界とは一線を画していたのほほんポッドキャスト村もいよいよゲームチェンジの予感?と思いきや、全く顔の見えない「結婚したい乙女たちのアダルトーク」もしっかり食い込んできていて、「それでこそこのメディアの良さよ」とニヤリとしました。あらゆる価値観の扉が並んでいて、気になるものからすぐ聴ける、その間口の広さと懐の深さ。さらに成熟していくであろうその過程をこれからもしかと聞き届けていきたい。


    こちらも面白かったです
    「結婚したい乙女たちのアダルトーク」
    昨年もNext枠としてお目見えした際、注目していましたが、今回もやっぱり面白い!!好き嫌いは分かれるでしょうが、話しているあなたは一体誰?というところから、聞き続けることで二人のキャラクターや恋愛傾向も徐々に浮かび上がってくるあぶり絵のような面白さ、私は好きです。軽やかな口調で繰り出される失敗報告は「みんな気をつけて!同じ轍は踏まずに!」という同志への愛ある連絡網のよう。恋愛相談においては「いろいろあるけど、楽しんでいこうね!」という威勢の良さ。このくらい前向きで生きられたらいいなと、聞くだけで勇気が出てきます。
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. 長州力の愛のラリアット
    2. 今ファミレスにいるんだけど隣の席の女子が話してる内容がジワジワきてるんだが共有してもいいですか?
    3. 仲野太賀のポッドキャスト
  • 総評:
  • 1位
    どこを切っても長州さんだからこその説得力。「昭和の男は寡黙なんだよ…」と言いつつ、ぽろりとこぼれる本音がしんみり響く。「目標ってのは、閉ざすも開くも自分でしかできないんだから」とさりげない人生訓も出てきて、聞き終わった後、不思議と力が湧いてくる番組。
    他にも、夫婦円満の秘訣は「耐えるところは耐える。どちらが先にお迎えが来るかわからないけど、日々感謝の気持ちだよ」と、芯を食っている名言もしかり。ちょっと先の人生をリアルに語ってくれる、「なるほどそうなのか」とあたたかい視点にも思わず頷いてしまう頼もしい先輩。聞き取りづらいところも含めて強烈な個性!

    2位
    アラサーの女性がゆるくそれぞれの興味の赴くままに話している…と見せかけて、好奇心の種を刺激するワード満載。シンガーと女優という立ち位置を感じさせない等身大のありのままの二人。だからと言って、二人だけのあるある内輪話ではなく、キラリと光る「それわかる」「読んでみたい」「やってみたい」「調べちゃった」なエッセンスがごろごろ転がっているから、何かしながら聞いても毎回いい意味で引っかかる。しかも本人たちによる「面白いでしょ?」感ゼロの無意識な感じがいい。正解のないことに対して、その周辺をぐるぐる話しながら、気がついたら「そうだな、私だったら…」とその会話に擬似参加しているような気持ちに。

    3位
    今身の回りで起きていることに対して、少年のようなまなざしで驚いたり、正面から見たり、斜めから見たり。まるでSNSのような気軽さ。ちょっと自分を盛ってみた発言をしたと思えば、すぐ白状したり。「オレ、こんなダメな自分だけど」と自虐トークも憎めないナイスガイぶり。どこへ飛んでいくのか分からないフリートークも、時代の空気をキャッチしたワードが突然出てくるから油断できない。 
       
    総評:
    ポッドキャストにおいて「誰」が発信しているのか、その幅がさらに広くなったと感じます。どういった人が、何を発信するのか。その人の自身の素性を公に出してもいいし、出さなくてもいい。出さずしても、聞き手を惹きつけるパーソナリティーがあれば、いつでも誰でも音声メディアのスターになれる。その可能性がさらに大きなスケールで起きていくことを願ってやみません。
ベスト コメディ賞
  • 1. 有田脳
    2. 福田と南のAlways Together
    3. ラランドの声溜めラジオ
  • 総評:
  • 1位
    出たところ勝負、打ち合わせなし、NGなしで出されたお題に対して、ハイレベルなフリートークでぐいぐい最後まで聴かせる話術。空振りなし、どんな角度で打ち返しても軽々と「聞いてよかった」につなげていくパワーヒッターのよう。
    その広げていく話題も、緊張している時の考え方、アンガーマネジメント、幸せな結婚生活の秘訣、おいしいものまで。何が出てくるか分からない、レンジが広すぎる楽しさ。華やかなテレビのリアルな裏側の洞察から、「こんな器の小さなオレだけどさ…」と日々のトホホな出来事なども交えながら笑いに昇華する。リスナーをおもねらず、二人で自由に喋っているようでいながら、豊富な知識と刺さる格言もポロリと出てきます。

    2位
    なんだかもっとずっと前からやっていたような気がする福田さんと南さん。音声のみ&長尺だからこそお茶の間の人気者「三時のヒロイン」ではない福田さんの「毒」の部分や、切れ味抜群のクレイジーな魅力が楽しめます。大人のいろんな事情をガンガン話しながら、「さてさて、真偽の程はどうだろう…」とムフフと想像する二次的楽しみも。お互い「そうくるか!」「そっちがそうなら!」という言葉の技の掛け合いで高め合っていくようなライブ感もクセになります。
    福田さんの「今日はこっちの方向に、こんな感じで行きたい」という空気を瞬時に読み取り、ひねったり、ゆるめたり、薪をくべたりする南さんのピリッとした言葉のセンスも抜群。

    3位
    キャラとしては真逆のようにも見えて、なんだかんだカッチリ噛み合うふたりのオフビートな楽しさ。互いの日常で起きている近況報告も、目まぐるしく入れ替わっていくツッコミやボケで爽やか。マッチングアプリをガンガン活用しながらも「やっぱ恋愛は風情よ」とのたまうニシダさんに、食い気味で刺してくるサーヤさんのツッコミ「なら文(ふみ)をしたためろ!矢文を打て!」はこれぞ知性よ!と痛快。地上波では若干はばかられるようなキワドイ内容でも、カラッと明るく笑えて、不思議と前向きな気分になれる番組。
    真剣モード入った「性教育の遅れ指摘おばさん」キャラも、一人の女性の本音にふれられる有意義な場であるし、まぜっ返すことなく素直に聞きながらもユーモラスに面白く中和するニシダさんのバランス感覚も。

    総評:

    毎年コメディ部門は、言葉遊びの猛者たちが集う場所だなぁと実感します。そんな表現者たちが、尺や諸般の事情(?)を気にせずアレコレ自由にのびのび話せる場所が増えることで、今後さらに文化が豊かになっていくのではと思います。コメディ系ポッドキャストをより楽しむコツとしては、うまく拾えなかったギャグはスルーして、とにかく最後まで一度聞いてみること。最初からドッカンと笑わせ掴んでくる番組もありますが、聴きながらおもしろ曲線をじわじわ上り詰めていく感覚もハマったら最後。「自分に合わない」と最初の5分でやめてしまうのは、ちょっともったいないと思うんですよね。

    こちらも面白かったです
    「オークラ 質問のコメディ」
    二人のこれまでの時間、信頼関係あってしての忌憚ない「お笑い」論。シモキタやナカメあたりの居酒屋で隣に居合わせたそのスジの関係者のここだけの話を「面白すぎる!」と聞き耳を立てている感覚です。
ベスト メディアクリエイティブ賞
  • 1. 大沢悠里と毒蝮三太夫のGG放談
    2. 聴くドキュメント72時間
    3. アンガールズのジャンピン
  • 総評:
  • 1位:
    このキャスティングは無双!「いま若者の間でこんなものが流行っています」トピックは定番だけど、自分が生まれていなかった時代を見てきたふたりが、自分の視点で、言葉で語る面白さ。
    いわゆる高齢者の「あの頃はさあ」な思い出話だけではなく、今この時代、自分の暮らしにリンクするハッとするような話が出てくる。例えば、戦争体験記の回。「ウクライナで子供達が防空壕に入ったり泣いたりしている写真を見ると、思い出すんだよ。あの時の空襲の時とおんなじだよ。」と自身の体験したリアルな話は、その人しか語れない貴重なもの。
    わかることもわからないこともあるけど、ポッドキャストの良さは、これがずっとアーカイブされて残っていくということ。10年後、20年後に再聴してみたら二人の言わんとすることが初めて理解できることもあるかもしれない。それぐらい、先輩方の話には残しておくべき価値があるし、奥深さがある気がしてなりません。長く愛聴していきたい番組。
    2位:
    いわゆる「中の人」=番組を作っている人の思いが、その人の声と言葉で語られる、ありそうでなかったドキュメンタリーofドキュメンタリー。活字で語られるのではなく、声だからこそ、作り手の生の温度感が番組とシンクロして魅力的。ディレクターやナレーターさんによる裏話やハプニング話はもちろん「この回のこの時、こんなこと思ったんですよね…」と、文章にされる用ではなく、ふと漏れ出てくる声こそが、番組の心臓のようで。その一言が聞けたら、「ああ、聞いた甲斐があった。」と。MCのコラムニスト吉田潮さんのスタンスも素敵。自分で手綱をがっしり握って「こっちこっち!」と引っ張ろうとせず、「ゲストのあなたが向いている方向へ、あなたがちょうど心地よく感じるペースで、私はいかようにも、どこにでも」という大人な姿勢がこの番組らしい。

    3位:
    二人のかけあい、スピード感がゆるく疲れなくて、ほどよいチカラ加減。物腰穏やか、いい大人のちょうどいい温度感にホッとする。深夜番組のノリではあるけど、「俺いま面白いこと言ったった!」的オラオラ感がなく、下ネタも「ああ、男子ってホントしょうがないねえ」的微笑ましさを感じるからズルい。クラスでもなんとなく目立たないふたりが放課後、教室に残ってダラダラ話している空気。それが耳に入ってきたら意外な面白さだった!みたいな。「令和人間図鑑」などのコーナーも、優秀なリスナーさんの投稿に支えられ、それらを「え、そんな方向へ?」と広げていく二人の技も堪能できる。

    総評:
    やはりポッドキャスト制作はラジオ局が勢いあるよね!と思っていたら、NHKが本腰入れてキターーーー!しかも人気キュメンタリー番組を軸に、「その裏側を教えます」番組で。参戦メディアも増えてきたし、プラットフォームも充実してきましたし、GERAのような音声アプリも浸透してきました。ハード面が揃ってくれば、ますますソフトも!と期待。もうこうなってきたら、小学校のカリキュラムで習えばいいのに!高校生たちによるポッドキャスト甲子園など創設すればいいのに!というほど、さらにみんなのものになってほしい。
  • 深井 龍之介 
    株式会社COTEN/代表取締役 CEO
    2016年に株式会社COTENを設立。3,500年分の世界史情報を誰もが抽出可能にする世界史データベースを開発中。「歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)」を配信。Japan Podcast Awards2019 大賞・Spotify賞をW受賞。Apple Podcastランキング1位を獲得。2022年3月に「世界史を俯瞰して、思い込みから自分を解放する歴史思考」、同年6月に「教養という視点」を出版.
大賞
  • 1. 結婚したい乙女たちのアダルトーク
  • 「30代の女性2人が自身の体験談を赤裸々に語る」という構成の楽しさと、トークの面白さが際立っています。
    音声コンテンツならではの親密性・話題の自由度が活かされてると思います。
    Podcastを始めてみようという人の間口を広げたのではないでしょうか。
  • 2. Matthew’s Matthew マシュー南の部屋の中のマシュー
  • 小気味良いテンポとくだけた雰囲気のトークで、ゲストの意外な一面をうまく引き出せている番組だと思いました。僕たちも今後参考にしたい。 
  • 3. 聴漫才
  • 音声のみで漫才・コントを聴くのは新鮮でしたが、面白かったです。
    Podcastの楽しみ方の幅を広げていると思います。
  • 総評:
  • 芸人さんなど、喋りのプロの方の作品が多くノミネートされている中、身近にいそうな女性2人の軽快な会話が繰り広げられる「結婚したい乙女たちのアダルトーク」は良い意味で異質でした。面白さのクオリティが高い一方で、誰でもトライしうる番組構成は、これからPodcastを始めてみようという人の間口を広げているように感じます。こうした番組が評価されることで、配信者がもっと増え、垣根やジャンルを越えてPodcast業界全体が盛り上がっていくことに期待しています。
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. 仲野太賀のポッドキャスト
    2. 今ファミレスにいるんだけど隣の席の女子が話してる内容がジワジワきてるんだが共有してもいいですか?
    3. 結婚したい乙女たちのアダルトーク
  • 総評:
  • Podcastの醍醐味の一つに、パーソナリティ同士の掛け合いがあると僕は思っています。その点、「仲野太賀のポッドキャスト」「今ファミレスにいるんだけど隣の席の女子が話してる内容がジワジワきてるんだが共有してもいいですか?」ではパーソナリティ同士の掛け合いが相乗効果を生んでいて、いつもと違った日常を味わうことができました。
ベスト ナレッジ賞
  • 1. News Connect 〜あなたと経済をつなぐ5分間〜
    2. 経営中毒 〜だれにも言えない社長の孤独~
    3. みんなのメンタールーム
  • 総評:
  • 「News Connect 〜あなたと経済をつなぐ5分間〜」は、既存のメディアに捉われない新しい形態のニュースとして、社会的価値の高さを感じます。また、重要ニュースをさらっとインプットできるので、慌ただしいビジネスパーソンにとって非常に有難いですね。「経営中毒 〜だれにも言えない社長の孤独~」は、経営を外側・内側の両方から見た経験のある徳谷さんが語るトーク内容に説得力がありました。「みんなのメンタールーム」は、リスナーの立場に寄り添いつつ、2人の経験を基にした的確かつ具体的なアドバイスに有用性を感じます。メンタールームという名の通り、頼りになるミドルマネージャーに1on1をしてもらっているような感覚も特徴的です。
ベスト ウェルビーイング賞
  • 1. 香りと言葉のラジオ「NOSE knows」
    2. 水野敬也と岸田奈美のLOVE相談
    3. 魚食系ラジオ「JUNK FISH!」
  • 総評:
  • 「香りと言葉のラジオ「NOSE knows」は、全く新しい知覚体験をさせてくれたという点で新鮮でした。香りと言葉が相互に刺激される仕掛けが素晴らしく、あっという間に香りの世界に惹き込まれます。聴いていると、思わず自分の五感に訴えかけて来るものがあり、世界を感知するセンサーとして五感の可能性を感じました。
  • Photo: Shunichi Oda
  • 古田 大輔 
    ジャーナリスト/メディアコラボ代表
    1977年福岡生まれ、早稲田大政経学部卒。2002年に朝日新聞に入社し、社会部、アジア総局員(バンコク)、シンガポール支局長などを経て、デジタル版の編集を担当。2015年10月に退社し、アメリカ生まれのグローバルなインターネットメディア「BuzzFeed」の日本版創刊編集長に就任。ニュースからエンターテイメントまで、ソーシャルと動画で急成長し、3年で日本有数の規模のネットメディアに。2019年6月に独立し、株式会社メディアコラボを設立して代表取締役に就任。ジャーナリスト/メディアコンサルタントとして活動。2020年9月から2年間、Google News Lab Teaching Fellowとして延べ2万人にデジタル報道トレーニングを実施。2022年9月に日本ファクトチェックセンター編集長に就任。その他の主な役職に、デジタル・ジャーナリスト育成機構事務局長、ファクトチェック・イニシアティブ理事など。
大賞
  • 1. 佐藤と若林の3600
  • レッドオーシャン化が進むPodcastの世界で際立つには、この人達の話をここで聞きたい、と思わせる何かが必要なんですね。2人の笑いに釣られて笑う。
  • 2. 結婚したい乙女たちのアダルトーク
  • 昨年Nextクリエイター賞だった二人、今年はもうPodcastのプロ感が漂う面白さです。リスナーとの距離感の近さは、大賞ノミネート5作品の中でも一番!
  • 3. 有田脳
  • 芸人の世界で長年交流のある先輩・後輩だからこその面白さ。Podcastだからこそ聞ける組み合わせと内容っていいですね。
  • 総評:
  • YouTubeに芸能人や大手メディアが乗り込んできて、ベテランYouTuberの人気が落ちる傾向にあると言われています。Podcastもここ数年、プロが大量に参入することで競争は激化していることを感じさせる5作品でした。その中でも1位に推したのは「佐藤と若林の3600」。プロの話芸という意味では「有田脳」「聴漫才」「マシュー南の部屋の中のマシュー」は、いずれ劣らぬ面白さで甲乙つけがたい。しかも、映像がなく、テレビに比べて長尺というPodcastの特性もしっかりと抑えた番組作りになっている。「佐藤と若林」を私が推したのは、2人の関係性がもう一つのPodcastの特性である「会話を隣で聞いているような親密感」に一番ぴったり来るなと感じたからです。その点でいうと、芸人集団の中に食い込んできた「結婚したい乙女たちのアダルトーク」は、他の4番組のMCよりもリスナーに近い存在としてお便りに答えていて、Podcastのプロと呼びたくなるような面白さでした。
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. 結婚したい乙女たちのアダルトーク
    2. 今ファミレスにいるんだけど隣の席の女子が話してる内容がジワジワきてるんだが共有してもいいですか?
    3. 長州力の愛のラリアット
  • 総評:
  • 少人数で進行するPodcastにとって、パーソナリティの魅力=番組の魅力。大賞部門でも2位に推した「アダルトーク」は、まさにルナさんとお琴さんの魅力が全て。リスナーから寄せられる質問やメッセージとの掛け合いとぶっちゃけ話は、芸能人だとどんなに素のキャラでやっても出せないグルーブを感じます。「ファミジワ」は、本当にファミレスで魅力的な2人組が話している感があって、実際、こういう2人がいたら聞き耳立ててしまいそう。「長州力の愛のラリアット」は、すいません、本当に集中して聞かないと、何を話しているかよくわかりません(笑)。そこに癖になる魅力を感じてしまうのが、長中力さんのパーソナリティの奇跡ですね。
ベスト ウェルビーイング賞
  • 1. ママが自分を取り戻すラジオ
    2. 魚食系ラジオ「JUNK FISH!」
    3. 水野敬也と岸田奈美のLOVE相談
  • 総評:
  • 子育て中のすぎべさんが「世の中のお母さんたちがもっと救われるべきだ」と発信してる「ママが自分を取り戻すラジオ」。ワンオペだったり、育児ノイローゼだったりと大変な子育てをしてるお母さんたちは、今日も家事をしつつ、耳だけのながら視聴で聞いて、一人じゃないんだと救われてるんじゃないでしょうか。魚食業界の二人組が魚について語るニッチな「JUNK FISH!」, 恋愛という音声メディアの鉄板テーマで勝負する水野さんと岸田さんの「恋愛相談」。方向性は全く違いますが、両方、聞いてて落ち着きます。前者は同じテーマが好きな仲間が集まる安心感、後者はMCの二人の押し付け感のなさが良いんだと思います。
ベスト メディアクリエイティブ賞
  • 1. 聴くドキュメント72時間
    2. 大沢悠里と毒蝮三太夫のGG放談
    3. スタンド・バイ・見取り図
  • 総評:
  • そもそもNHKのドキュメント72時間が面白い。その番組の詳細や舞台裏を語る「聴くドキュメント72時間」が面白くないわけがない。昨年大賞を獲った「ハイパーハードボイルドグルメリポート no vision」がそうであるように、映像がないからこそ、余計に夢中になれる面もあります。「大沢悠里と毒蝮三太夫のGG放談」はラジオで30年以上活躍してきた2人だけに、爺どころではない元気良さでテンポよく話すので、年長者の知恵と経験を楽しく聴くことができます。見取り図、アンガールズ、マユリカの3組は、さすがプロの芸人。安定した面白さ。番組全体の完成度も文句ないですが、それでも部門賞でダントツ1位というわけにはいかないところが、Podcastのレベルが上っていることを示していると思います。
  • 美村 里江 
    俳優/エッセイスト
    1984年、埼玉県深谷市出身。2003年にドラマ『ビギナー』で主演デビュー。ドラマ・映画・舞台・CMなど幅広く活躍。近年の出演作は『大岡越前』『MIU404』『青天を衝け』『精神分析医 氷室想介の事件簿』『家庭教師のトラコ』映画『空に住む』など。また、読書家としても知られ、新聞や雑誌などでエッセイや書評の執筆活動も行い、複数のコラムを連載中。近著には初の歌集『たん・たんか・たん』(青土社)など。2018年3月に「ミムラ」から改名。
大賞
  • 1. 有田脳
  • 率直な言葉がするする耳に入ってきて、笑っているうちに勉強になる部分もあり、なんだか気分が楽になってきます。次も次もと、どんどん聴いてしまいました。
  • 2. 佐藤と若林の3600
  • にやにや忍笑いで聞きつつ時々訪れる大共感の波。配慮の話など首がちぎれるほど頷きました。確かにこうした”歯に絹着せない”のはラジオの特権だったのに平均化している現代。貴重だなと思います。
  • 3. 結婚したい乙女たちのアダルトーク
  • 聴くと元気になります!恋愛や結婚への考えは違っても、お二人の集中力と明るさはいつ聴いてもいい。過去回も沢山楽しみました。
  • 総評:
  • 「有田脳」Ep3【う】の”普通”’のブラインド、風紀委員長の必要の話は勉強になりました。”5分で相談”も現実的な回答でお気に入りに。気軽に聴けるのにお腹に溜まる、栄養のあるスナック菓子でした。
    「佐藤と若林の3600」#15の配慮の話やナレーションの話は首がちぎれるほど頷きました。確かにこうした”歯に絹着せない”のはラジオの特権だったのに平均化している現代。貴重だなと思います。
    「結婚したい乙女たちのアダルトーク」このテンションでこの回数、密度の高さが素晴らしいです。普通の部屋で話してるっぽい感じ(音響)も身近な感じがしていいです。「Matthew’s Matthew  マシュー南の部屋の中のマシュー」あの三谷さんが翻弄される スタート、フェイクリスナーの時点からもう可笑しい。ゲストに喋らせるのが上手いって大事ですね。「聴漫才」漫才は好きでよく拝見しますが、聴漫才は皆さん間の使い方が普段と違ってとても面白かったです。
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. 結婚したい乙女たちのアダルトーク
    2. 仲野太賀のポッドキャスト
    3. 長州力の愛のラリアット
  • 総評:
  • 「結婚したい乙女たちのアダルトーク」「乾杯!」の時点から楽しげ!お二人の声質の違いがはっきりしていて、アップテンポでテンションも高いのに情報がちゃんと入ってくるのが凄いと思いました。
    「仲野太賀のポッドキャスト」役者の多忙期、台詞を吸って吐き出す妖怪は言い得て妙でした。それ以外の話も笑えて一番共感したかもしれません。声もとても聞きやすいです。
    「長州力の愛のラリアット」とても丁寧に言葉を紡ぐ長州さん。滑らかに話すことを目指しがちな中で、きらりと光っておりました。リングの上から目線を考える話も興味深かったです。「今ファミレスにいるんだけど隣の席の女子が話してる内容がジワジワきてるんだが共有してもいいですか?」ドリンクバー飲んで参加している気分で楽しみました。「石原希望の超HOPEちゃんラジオ」途中の芝居部分がリアルで笑ってしまいました。
ベスト ナレッジ賞
  • 1. 経営中毒 〜だれにも言えない社長の孤独~
    2. 楽しく広告人学を学ぶラジオ番組【アドバタラヂオ】(Adbata Radio)
    3. News Connect 〜あなたと経済をつなぐ5分間
  • 総評:
  • 「経営中毒 〜だれにも言えない社長の孤独~」タイトルもいいですが、社内外への気遣い、世間の目線、あらゆる配慮をしながら内情、本音と感じさせるものもきちんと入って大満足。バランスに感動しました。
    「楽しく広告人学を学ぶラジオ番組【アドバタラヂオ】(Adbata Radio)」は毎日目にしつつ意識させないものの話は面白かったです。特に面白かったのがテレビの意図的先行テロップの話、知りませんでした。
    「News Connect 〜あなたと経済をつなぐ5分間〜」内容と5分というボリュームがちょうど良く、ニュース小話もいいですね。#40子育てが新事業、納得です。「ファンドマンの日常」も親みやすい内容も多く聴きやすかったです。4人でやっているバランスもよく楽しそうでした。「みんなのメンタールーム」一つのテーマを深〜く掘り下げるのは楽しいですね!現実的な話も多く参考になりました。
ベスト ウェルビーイング賞
  • 1. 魚食系ラジオ「JUNK FISH!」
    2. ママが自分を取り戻すラジオ
    3. 香りと言葉のラジオ「NOSE knows」
  • 総評:
  • 「魚食系ラジオ『JUNK FISH!』」釣り・魚好きとしてはたまりません!声も明るくオープンで、とにかく魚を食べたい気持ちになります。外来種であったホンビノス貝の日本貝化なども面白かったです。
    「ママが自分を取り戻すラジオ」、「母」としてシステムを組み替えないといけない日々の本音。私は子供いませんが、役者も自分の解剖と観察を抜きに語れない仕事なので、共感部分多かったです。
    「香りと言葉のラジオ『NOSE knows」」思い出の香りを反芻することはあっても、未知の香りについて想像するというのは新しいなと思いました。「ティラノサウルスが見ていた景色の香り」嗅いでみたい!「ハピネス観章の月曜日の仏活」はゆったりと聴ける内容で朝に聞きたいですね。「水野敬也と岸田奈美のLOVE相談」週末の夜に笑って聴きたいです。
  • 宮司愛海 
    フジテレビアナウンサー
    1991年福岡県生まれ。2015年早稲田大学卒業後、フジテレビ入社。2018年スポーツニュース番組『S-PARK』メインキャスターに就任。数々の現場を取材し、東京五輪・北京五輪にも携わる。2022年10月から、夕方の報道番組『Live Newsイット!』のメインキャスターを務める。
大賞
  • 1. Matthew’s Matthew マシュー南の部屋の中のマシュー
  • 毎週楽しみに番組を観ていた当時の思い出が蘇ってきます。あのマシュー節を20年の時を経てまた味わえるなんて夢のよう。2000年代のテレビの空気は残しつつアップデートされたマシュー、時々素が出ちゃうのも好きです。聴き終えた後、不思議と心が浄化されている気がする。ハッピーとラブがあふれる作品でした。
  • 2. 佐藤と若林の3600
  • 損得勘定なく、相手にどう思われるかリミッターなしで何でも話せる存在がいるということが尊いし、二人の関係性がどう変わっていくのかも含めて追いかけていきたいと思わせてくれる。
    これまでのお互いの人生を持ち寄って、いまの二人にしかできない話をしている姿が眩しいです。
  • 3. 結婚したい乙女のアダルトーク
  • 女子会の空気全開!明るいマシンガントークを聴いているだけで元気が出てきます。さぞ恋愛巧者な二人なのだろうと思いきや、時々失敗したり落ち込んだり、等身大の悩みを隠さず語るところが愛おしい。ルナさんの失恋回、もらい泣きしました。恋愛は辛いことも多いけど、明るくい続けようとする姿がいろんな人を救っていると思います。       
  • 総評:
  • どの作品も本当にクオリティが高く、じっくりと耳を傾けたくなるものばかりでした。
    ジャンルもバラバラで単純に比較するのが難しく、どれも唯一無二の魅力があって順位を付けるのが大変でした。とても悩みましたが、ネガティブをポジティブに変換するきっかけをくれたり、物事を新たな視点で捉えられるようになったり、聞き終えた後に「心に変化が起こる」そんな観点から作品を選出させていただきました。
    「有田脳」は、事前告知も打ち合わせもなしでその場のお題に縦横無尽に応える、有田さんの引き出しの豊富さをただただ堪能する贅沢すぎる作品でしたし、「聴漫才」は、視覚情報がないことを逆手に取ったネタの数々で、音声だけだからこそ芸人さんたちの息づかいをよりリアルに感じることができました。
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. 長州力の愛のラリアット
    2. 仲野太賀のポッドキャスト
    3. 今ファミレスにいるんだけど隣の席の女子が話してる内容がジワジワきてるんだが共有してもいいですか?
  • 総評:
  • 「この人が話しているから」聴きたい、存在自体がコンテンツのような、魅力的なパーソナリティの方ばかり。あえてテーマを設定せずその場の流れを重視する作りによって生まれるハプニングも楽しく、その人の「素」を知ることのできる作品ばかりでわくわくしました。

    ・「長州力の愛のラリアット」
    決して長州さんが主体的にお話されるわけではないけれど、滲み出る存在感と、どれだけ周りから愛されているのかが伝わってきます。試合時、場内をどう盛り上げるのか、長州さんがどうリングを捉えているのかという話が面白かったです。あと、リベラからの配信はずるいです。おいしそうなお肉の焼ける音……ふいに食欲を刺激されました。

    ・「仲野太賀のポッドキャスト」
    笑い声がとても明るく聴いていて元気が出ます。エピソードトークに垣間見える役者さんとしての表現力!まるで落語を聞いているような滑らかで表情のあるトークに引き込まれます。この作品での無邪気な話しぶりと普段(のイメージ)とのギャップにぐっときました。

    ・「今ファミレスにいるんだけど隣の席の女子が話してる内容がジワジワきてるんだが共有してもいいですか?」
    タイトルの通り、本当にファミレスで会話を盗み聞きするような感覚で聴きました。作り込まれていないお二人の脱力感、自然体な様子に癒されます。1話10分前後というのもちょうど良く、聴く側も構えずに聴くことができますね。
ベスト ウェルビーイング賞
  • 1. ママが自分を取り戻すラジオ
    2. 香りと言葉のラジオ「NOSE knows」
    3. ハピネス観章の月曜日の仏活
  • 総評:
  • バラエティ豊かなみなさんの人生や見識に触れることで、世界はこんなにも面白く、発見に溢れていると気づくことができます。生き方が多様化し視覚化され、いたずらに焦りを掻き立てられてしまいがちな現代で、自分らしく生きることの素晴らしさを、作品を通じて改めて感じることができました。

    ・「ママが自分を取り戻すラジオ」
    タイトルから「子育て中の悩める方が聞く」作品というイメージを受けるかもしれませんが、良い意味で裏切られました。母だからとか女性だからとかだけではなく、悩んだり怒ったり悲しんだりしながら築いてきた、すぎべさんの人生のエッセンスがぎゅっと詰まった素晴らしい作品。もはや「哲学」の境地と言ってもいい気がします。どんな人にとっても、刺さるエピソードがあるはずです。

    ・「NOSE knows」
    ことばを通じて耳で香りを楽しむというコンセプトを実現させたのは、中森さんの底知れぬ香水への知識と夏生さんの聞き手としての能力の高さだと感じました。内容もさることながらお二人の会話のテンポがなんとも心地よいですね。本当に楽しんでトークしているのが伝わってきます。布一枚で世界と隔たりが生まれてしまったこの数年、失われた「香り」の体験を取り戻したくなる作品でした。

    ・「ハピネス観章の月曜日の仏活」
    優しい語り口で、説法を聴いているような清らかな気持ちになります。
    お坊さんになられた経緯やご自身の体験が示唆に富んでいて、仏教が私たちに教えてくれることって多いのだなあと感じます。忙しなく過ごす日々の中でほっとでき、優しく背中を押してくれるような作品です。
ベスト メディアクリエイティブ賞
  • 1. 聴くドキュメント72時間
    2. 大沢悠里と毒蝮三太夫のGG放談
    3. マユリカのうなげろりん!!
  • 総評:
  • テレビからラジオ・ポッドキャストなど、あらゆるメディアを横断し、ミクロマクロ両方から受け手にアプローチしていく時代に入っていると思います。
    とくに「聴くドキュメント72時間」は、番組と併せて楽しむことができ、番組を観るモチベーションを何倍にも高めてくれると感じました。聴く人にとっての答え合わせ的役割と、オンエアに入りきらなかった部分を掬い上げる補完的な役割を同時に果たしているところが素晴らしいです。
    テレビ側の目線で考えると、ポッドキャストの特性をうまく使い、普段テレビに触れない層にもリーチさせるなど、多角的、戦略的にメディアを使い分ける重要性を感じます。
    ノミネート作品を聴き、テレビの現場で培ったノウハウを活かす先の幅はまだまだ広げていける、と思いたくなりました。