既存エンタメ・メディアの先入観に囚われず、音声メディアの可能性や課題に関し、スマートかつビビットな視点で言及・選考ができる感性を持つ方に、選考委員をお願いしています。
  • 佐久間 宣行 
    株式会社テレビ東京 プロデューサー
    1999年テレビ東京に入社。『TVチャンピオン』などで経験を積みながら、入社3年目に異例の早さでプロデューサーとして抜擢される。『ゴッドタン』のプロデュース・総合演出をつとめるほか、『ピラメキーノ』『キングちゃん』『ウレロ☆未確認少女』『有吉のバカだけどニュースはじめました』テレビ東京開局50周年記念企画『トーキョーライブ24時〜ジャニーズが生で悩み解決できるの!?』などのプロデュースを担当。『ゴッドタン』の名物企画「キス我慢選手権」の映画化の脚本・監督をつとめるなど、さらに活躍範囲を広げている。

    最終選考では「大賞」「ベスト パーソナリティ賞」「ベスト エンタメ賞」の3部門を審査。
大賞
  • 1. ロバートpresents聴くコント番組〜秋山第一ビルヂング〜
  • 文句なしにレベルが高い
    ロバートがもともと声に力のあるコント師なので音声に向いている
    ゲスト芸人も実力派なのでワクワクする
  • 2. 三原勇希 x 田中宗一郎 POP LIFE:The Podcast
  • トークのレベルは非常に高い
    偏見と諦観に溢れてて聞いてて田中さんにムカつくときも多いんですけど(笑)
    宇野さんが来る回の熱の高さもいいです 
  • 3. 味な副音声〜Voice of food〜
  • 本当に食べるのが好きなのが伝わってくる
    ふわりとした雰囲気もがいいが、味の描写は完璧
    ドラマにもできそう
  • 総評:
  • どれも面白かったです。
    ジャンルも多岐にわたっていて比較するのは難しいのですが、まず作品単体としての完成度と自分の行動を変えてくれそうな情報の刺激。僕が音声コンテンツに求めるものがその2つだったので、その視点から選びました。
    大賞のロバートは、ラジオでのお笑いとしては段違いに過去のものと比べても面白いですね。
    秋山君の底知れない天才さを感じます。ゲストのチョイスもいいです。
    ポップライフは昨年エントリーされなかったのが不思議なほど、毎回レベルの高いトークを繰り広げてます。神回の比率も高いです。
    コテンラジオは変わらずレベルが高いのですが、昨年の大賞の評価からの上積みはなかったです。
    少しムカついたりしても、発言に熱と感情がある人に惹かれてしまいますね。
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」
    2. kemioの耳そうじクラブ
    3. ゆとりは笑ってバズりたい
  • 総評:
  • ジェーンスー&堀井美香は、パーソナリティとしてプロ中のプロなので、評価に悩みました。
    でもやっぱりトークの面白さが段違いだし、話している内容も、色んな人が必要とする心のつかえや怒りを軽くする、この時代ににとても求められている内容だと思ったので、1位に押します。凡百の悩み相談ではない
    スノッブすぎもしないのは堀井さんの才能でしょうか?

    kemioさんは当初はぎこちなかったけど、回を追うごとに自分ありの話法を身に着けていく気がして、どんどんオリジナルのPodcastになってきていると思います。そして話す価値観に興味も意味もあります。

    他はどれも同じくらい面白いので悩みましたが、一番しょうもないけど愛すべきパーソナリティだなと思ったのが彼女なので「ゆとり…」にさせてもらいました。聞いてるとなんか元気になりますね。
ベスト エンタメ賞
  • 1. 別冊アフター6ジャンクション
    2. 令和版・夜のミステリー season1
    3. 営農とサブカル
  • 総評:
  • 「アフター6ジャンクション」は通常の放送でも、情報とエンタメのとてもレベルの高い内容をあの物量でやっているという奇跡的な番組ではあるのですが、通常放送ではバランスを取っている部分からこぼれ落ちる熱量や偏愛が別冊に流れ込んできて、本編を超える神回が産まれてますね。
    放送に紐付いてるので悩みますが、神回の多さではダントツかなあと。

    「夜のミステリー」はジャンルとしてはベタなのですが、クオリティと作り込みが素晴らしいです。
    怖い、だけでなく、感動や笑いなどという別種の着地も聞いてみたいです。

    「営農とサブカル」ひとり喋りの熱量と気持ち悪さとしては非常に好きです。チョイスする作品も多岐にわたっていてどれも聞きたい。構成もしっかりしてて切り口と情報の面白さもレベルが高いと思います。
  • 秀島 史香 
    DJ/ナレーター
    1975年、神奈川県茅ヶ崎市出身。慶應義塾大学在学中にデビュー。ラジオDJ、映画、TV、CMのナレーション、朗読、プラネタリウムや美術館の音声ガイド、JAL機内放送など、声の表現があるところで活動中。現在FMヨコハマ「SHONAN by the Sea」、JFN系各局「Pleaseテルミー!マニアックさん、いらっしゃ~い!」、NHK Eテレ「デザイントークス+」、テレビ東京「二軒目どうする?〜ツマミのハナシ〜」などに出演中。ニッポン放送『文豪ROCK!~眠らせない読み聴かせ 宮沢賢治編』で令和元年度文化庁芸術祭「放送個人賞」受賞。著書に『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則』(朝日新聞出版)。

    最終選考では「大賞」「ベスト パーソナリティ賞」「ベスト エンタメ賞」の3部門を審査。
大賞
  • 1. ノウカノタネ
  • 農業をしたいと思う人、興味がある人が増えてきた…と最近よく聞くけど、そして野菜は毎日食べるけれど、そういや知り合いに農家さんは誰もいない。日頃お世話になっているけど、なかなか接点がないという世界の忖度&コンプラなしのノビノビした現場話が面白い。

    「うち赤字や」「うちも」「やる気は出た?」とボケ&ツッコミまじえての「あるある」話から、今の時代を生きる現役農家さんが、どんなことを考えているのか、変えようとしているのか。その道のプロだからこそ一次情報の臨場感、踏み込んだ分析も秀逸。ライフスタイルとして、ゼロから1を生み出すビジネスとして、農業の可能性をさらに知りたくなる。テックだけじゃなく、農業にも多様性、創造性がこんなにもあるのか!ほのぼのした博多弁も好き。感情や人間味がほんわか表せる方言って、大きな武器ですね。いやらしくない分量ってのが、さりげなくてすいとーばい。
  • 2. 味な副音声〜Voice of food〜
  • おいしいものに対する深い愛情と、作る人に対するリスペクトも忘れない。好きなこと、愛するものを前にして夢中で語る様子自体が愛らしく微笑ましく、「引く」テンションではなく、「引き込まれる」品の良さ。「このビーフシチューで火傷しても後悔はないよ。お肉もギシギシせずやわらかく」「お肉もエッジが立ちつつ、プルンとしてる」など、言葉のセンスに立体感があり、不思議と幸せな気分になってくる。コロナ禍で「ひとり飯」「黙食」状況が続く中、愛情あふれる「このお料理、こんなところが美味しいよね!」とお互いの感動をシェアする原点を呼び起こしてくれる作品。ポッドキャストらしく、セカセカせず、じんわりゆっくり味わいたい。飲食業界へのエールとリスペクトの意味も込めて。
  • 3. 歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)
  • 安定の面白さは、さすが王者の貫禄。マクドナルドを使っての密教を説明する際、起点は僧侶から聞いた話とした上でも、「法具は圧縮ファイルを解凍するようなもの」「儀式はインストール」「不動明王はウイルスバスター」とさらに例えを増幅させるその比喩センスが秀逸。「ソッコー成仏」「悟りのスピードが爆上げ」など出てくるワードも、本にもYouTubeにも載ってないポップさであり強み。絶妙な相槌スキルを持った聞き手も高く評価したい。
  • 総評:
  • 「分かりやすさ」のワナに絡めとられたり、忖度や予定調和の迷宮にはまり込んでしまう今の時代にあって、どの作品からも伝わってくる「今、これを!」という熱量に圧倒されました。日々増え続け「一体全体どれを聞いていいのかわからない」カオス状態の中の異種格闘技戦(戦いじゃないけど)において、「聞いている人に楽しんでもらいたい。喜ばせたい」という思いを感じる作品に惹かれ、選考しました。

    いつも通り愛聴しているラジオに加えて、並行して集中的にポッドキャストを聞いて改めて感じたのは、放送尺にとらわれず、毎回違う話の素材に合わせて、自分で自由に時間を配分できるという強み。時間が足りずに端折ったり、持ち時間が余って別話で薄めたり、ということがない。話し手の思いの純度を究極まで高められるメディアなんだなと感じました。あらゆるオーディオコンテンツは今後まだまだ楽しくなるし、さらに多くの人の耳にふれて、楽しんでもらいたいと思っています。どんな時も「声」には人の気持ちを揺さぶる原始的な力があるものですね。ちんまり縮こまってる場合じゃない!と、私自身、大いに焦り、刺激されました。

    (今回はもれてしまいましたが、こちらの作品も好きでした)
    imdkmさんの音楽を語る上での言葉の表現力と批評性!途中「転調」するように、「そういや!」と、また別の視点から光を当てて、最後まで惹きつけていく話ぶりは一つの曲のようでした。ゲストの冨田恵一さんとどこまでも深く(けど決してリスナーを置いてけぼりにしない)掘り下げていく音楽解説は、それまでただボンヤリ聞いてきた音楽のきめ細かい色味、音の粒が、一気に立ち登るような魔法。解像度が一気に上がり、見る景色が変わってくるような体験でした。
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」
    2. マンガ760
    3. ゆとりは笑ってバズりたい
  • 総評:
  • 1位:誰だっていくつになったって、その歳になるまで分からないエイジング初心者。不安になろうと、シリアスに、きわどくなろうと、「ひゃー参った、参ったねえ」とボヤきつつ、身のまわりで起きるトホホを、軽やかにユーモアへと昇華していく視点の鋭さと柔らかさ。スカッと痛快にして、大人だからこその知的なエレガンス。人生のちょっとだけ先をいく頼もしい先輩二人が豪快に笑い飛ばしてくれる。話題がきわどくなろうと、シリアスになろうと、最終的にみんなの「ワタシゴト」としての話に見事にまとまっていくのは、二人の互いへの尊敬と信頼といたわりがあってこそ。
    リスナーさんがよそではできない話も素直に相談できるのは、「この場は忖度なし、ありのまま」という姿勢とリスナーさんへの愛がしっかり伝わっているから。送り手受けて関係なく、袖振り合う者同士、それぞれの経験値を持ち寄って、お茶を飲みながら肩をバンバン叩き合い、勇気と元気をチャージして再び持ち場へと戻っていく、ハイパー井戸端会議。10年先、20年先も、こんなふうに色々と笑い飛ばし全肯定しながら、一緒に歳をとっていくのが今から楽しみでなりません。

    2位:のぼせない、つかれない、ずっと入っていたくなる「ぬる湯」設定のトークが心地良い。学生時代、教室の隅っこで文系男子がクスクスじゃれあいながらしているサブカル話。実はめちゃめちゃ面白くて、思わず聞き耳立ててしまったって経験、ありません?マウントを取り合うようなギスギスした感じは一切なく、どんなに話が弾もうとトーンは終始おだやか。午後のちょっとした時間、一日の終わりの時間に、身を委ねたくなる耳に優しい安心感。のんきに聞いているだけで「そのマンガって、つまりこういうこと?」と、実は作品の「芯」もしっかり理解できちゃうそのお得感もうれしい。

    3位:ギアがトップに入ると一気に高速展開していく極彩色のトーク絵巻。いい意味で誰も追いつけないオリジナリティ。テーマが自分の好みにハマると完全に釘付けになります。一方で、自分の声や喋りを冷静に分析できるメタ達人。「色々あるけど、笑っていこ!」というまぶしく青いパワーと、「近所のお姉さん」的な親しみやすさ。そしてたまに深いところへ迷い込んでしまうマニアックさ。全部が全部わからないところが、また不思議な魅力。ふとした時に「更新されたかな」と、つい気にしてしまう中毒性を持っています。
ベスト エンタメ賞
  • 1. ロバートpresents聴くコント番組〜秋山第一ビルヂング〜
    2. 別冊アフター6ジャンクション
    3. 令和版・夜のミステリー season1
  • 総評:
  • 1位:「盗聴」=こっそり耳をすまして楽しむという背徳的な喜びは、「音声のみ」「オフラインで好きな時に」「気に入ったエピソードは何度でも」と、ポッドキャストの特性をフルに活かした構成。
    天真爛漫のように聞こえるけど、緻密に作られた面白さと、一方でのちょうどいい具合の気負いのなさ。毎回違うゲストの強烈な個性もほどよく受け止め、リスナーにうまく橋渡しながら好きにさせてしまう秋山さんの名仲人ぶり。身を委ねて安心しながら、最後まで笑って聞いてしまいます。フリ受けとネタのバランスの取り方が絶妙でした。ただでさえ不安やストレスが多いコロナ禍ですが、安心して笑いに行ける。そして、聞き終わった後「ああ、笑った!楽しかった!」と気持ちを軽くしてくれる。これぞ、いま最も評価したいエンタメ作品としてのど真ん中の価値ではないかと思いました。

    2位:物理的な尺であったり、その日の番組の特集の方向性と違うからという理由で、こぼれてしまったゲストの生の言葉。「木」ではなく「森」を語る上で、本質を理解するために欠かせないものだったりします。そんな塊の中に、思わず本人の口から漏れた一言、珠玉の本音がキラリと入っていたりして。「ああ、これはリスナーさんに聞いて欲しかったな」と思いつつ泣く泣くカットしなきゃいけない…現場では往々に起きるジレンマです。そこにきて、ポッドキャストは救世主!そう感じた会心の回でした。ともすればグダグダ雑談に転じてしまうポッドキャストではありますが、これまで積み重ねてきた妥協なき制作姿勢がそのまま反映された密度の濃さ、カルチャー感度が高いリスナーから信頼厚い番組だからこそ、裏切らないクオリティを感じました。

    3位:「見えない」「見せない」こそオーディオコンテンツの強み。聴き終わった後から、さらにじわじわと怖くなる、余熱がしっかり残り続ける作品。「音」で攻めるポイントと、敢えて「引く」ところのメリハリの演出、演者の表現力も素晴らしい。余白を作り一歩引いて想像させる。無音ではない、無言「…」に込められえたニュアンスにハッとしました。想像力との共犯関係。普段眠っている右脳のコアな部分が目覚め、波立つようでした。
  • 和田 彩花 
    アイドル
    1994年8月1日生まれ。群馬県出身。アイドル。2009年4月アイドルグループ「スマイレージ」(後に「アンジュルム」に改名)の初期メンバーに選出。リーダーに就任。2010年5月「夢見る15歳」でメジャーデビューを果たし、同年「第52回日本レコード大賞」最優秀新人賞を受賞。2019年6月18日をもって、アンジュルム、およびHello! Projectを卒業。アイドル活動を続ける傍ら、大学院でも学んだ美術にも強い関心を寄せる。特技は美術について話すこと。特に好きな画家は、エドゥアール・マネ。好きな作品は《菫の花束をつけたベルト・モリゾ》。特に好きな(得意な)美術の分野は、西洋近代絵画、現代美術、仏像。趣味は美術に触れること。

    最終選考では「大賞」「ベスト パーソナリティ賞」「ベスト エンタメ賞」の3部門を審査。
大賞
  • 1. 三原勇希 x 田中宗一郎 POP LIFE:The Podcast
  • 雑談から生まれる社会背景の視点のポップでポジティブなアクションが素敵だなと思いました。
  • 2. 味な副音声〜Voice of food〜
  • 「食」の食べるだけじゃない魅力のつまった、おいしいPodcastです。素敵!  
  • 3. 歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)
  • 例え話がレベルアップされていました。楽しく歴史を学べる最強コンテンツですね。
  • 総評:
  • 「ロバートpresents 聴くコント番組」「令和版・夜のミステリー」は、映像ありきで成り立つイメージの強いコンテンツだと思っていましたが、聴覚だけでこんなに楽しめるのか!と発見がありました。
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」
    2. シノブとナルミの毒舌アメリカンライフ
    3. kemioの耳そうじクラブ
  • 総評:
  • 去年、審査をさせていただいてから、個人的にPodcastをよく聞くようになりました。あれから、パーソナリティの方の雰囲気、考え方、心の持ちようなんかがとてもよく伝わる点が、オーディオコンテンツの良いところの1つだと感じるようになりました。熱くなれるトピックスや話題なんかも必要不可欠な要素かもしれませんが、どんな話題でも聴きたくなる言葉の発し方、考え方の素敵さを基準に選定させていただきました。
    もし、この部門に「営農とサブカル」がノミネートされていたら、3位に選びたかったです!
ベスト エンタメ賞
  • 1. 令和版・夜のミステリー season1
    2. 別冊アフター6ジャンクション
    3. ロバートpresents聴くコント番組〜秋山第一ビルヂング〜
  • 総評:
  • エンタメって、視覚的なイメージありきで成り立つ印象を持っていたので、聴覚的な表現を試みている番組にいいね!を送りたいと思った点に選定理由があります。その中で、アフター6ジャンクションは、聴覚的なアプローチをずっとされてきたと思うので、先述した選定理由とは異なりますが、エンタメの深い楽しみを届けてくれる番組として外せないなと思いました!

    個人的には、エンタメ部門にノミネートされていた「営農とサブカル」がすごく好きでした。パーソナリティ部門などでぜひいいね!を送りたいなと思った番組です。
  • 石井 玄 
    株式会社ニッポン放送 エンターテインメント開発部 プロデューサー
    1986年、埼玉県生まれ。明治大学政治経済学部卒業後、東放学園専門学校を経て、2011年にサウンドマン(現・ミックスゾーン)入社し主に深夜ラジオ番組の制作を担当。2020年ニッポン放送入社。イベントやグッズなど、様々なエンタメ・コンテンツのプロデュースを担当している。

    最終選考では「大賞」「ベスト パーソナリティ賞」「ベスト エンタメ賞」の3部門を審査。
大賞
  • 1. ロバートpresents聴くコント番組〜秋山第一ビルヂング〜
  • ラジオコントを作ることは学生時代からの夢だったので「これ、自分が作ったことにしてほしい」と切実に思った作品です。音の使い方もセンスが良くて聴きやすく、それでいてロバートさんや芸人さんの個性を活かしていて、さらに面白い。作品の完成度の高さを感じました。出演している芸人さんが、とにかく楽しそうなのも良かったです。
  • 2. 令和版・夜のミステリー season1
  • SE、BGM、マイクでの使い方、録音方法、編集での工夫によって、音声コンテンツの魅力が存分に活かされていて、結果、超怖いです。クオリティが非常に高く、制作者の気合を感じました。TBSさんの作品ですが、忖度なく選ばせていただきました。
  • 3. 朝日新聞 ニュースの現場から
  • 取り上げる題材が、地上波ラジオや新聞の本紙では、じっくり時間をとって語ることのできないものばかり。ここでしか聴けないニュース・事実があることが素晴らしいです。
  • 総評:
  • 10年近くディレクターとして地上波のラジオ番組を制作していたこともあり、ラジオばかり聴いてきた自分にとって、ポッドキャストならではの作品を聴けたことが、ものすごく楽しかったです。好きなものを選んでいつでも何回でも聴ける、それでいてクオリティの高いものが聴ける、この一年でポッドキャストのコンテンツとしての進化を感じました。今回、他の音声コンテンツと比べて、よりポッドキャストらしい作品を意識的に選ぼうと思いましたが、どの作品も面白くて選考は難しく、最終的にただただ一番好きな作品を選びました。
    制作者にとって、ポッドキャストの魅力の一つは、「作品を自由度高く制作できる」ことだと思います。どの作品も、喋り手と作り手が楽しんでいる様子がうかがえました。聴いているこちらも楽しいし、自由に作れることに羨ましさも感じました。
    今後ポッドキャストはさらに盛り上がりを見せるでしょうし、ラジオを含めた他の音声コンテンツも益々盛り上がっていくことを想像すると、リスナーとしては楽しみで仕方がないです。今回のノミネート作品はもちろん全て面白いですし、これ以外にも面白い作品はたくさんあるので、今後も探して、見つけて、人に薦めて、好きなものを聴いていきたいです。
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. ゆとりは笑ってバズりたい
    2. kemioの耳そうじクラブ
    3. ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」
  • 総評:
  • 1位に選んだ、ゆとりフリーターさん、とにかく楽しそうにしゃべるので、大好きになりました。良いパーソナリティの条件の一つに「リスナーから好かれること」があると思っています。そういう意味でとても魅力的なパーソナリティだと感じます。部屋に独りっきりで、PCとマイク(レコーダー)に向かって、喋って笑ってボケてツッコんでるところを想像するだけで愛おしくなります。音声コンテンツにおいて、一人喋りは基本的には不利です。喋りながら次の展開を考えなければいけないですし、そもそも一人で喋ることは人生でほぼ経験しないので、とても難しいです。おそらくほぼ自己流だと思いますが、ここまで喋ることができるのは素晴らしいです。

    2位に選んだkemioさんは、人間的な魅力があふれ出ていて、友達になりたい、一緒にしゃべりたい、話をもっと聴きたいと思わせてくれます。出演している豪華なゲストの方もkemioさんのことが大好きな様子が分かります。聴いていて嫌なところがひとつもなく、リスナーをすぐに好きにさせてしまう魅力的なパーソナリティだと思います。

    3位のジェーン・スーさんと堀井美香さんは(私みたいなものが語るのは、おこがましいですが)とにかく素晴らしいパーソナリティです。技術もパーソナリティとしての魅力もとんでもないレベルです。聴いていて心地よいですし、内容も面白いですし、ずーっと聴いていられます。 前述の通り、一人喋りは不利なので、そこを考慮した結果、3位とさせていただきました。
ベスト エンタメ賞
  • 1. 令和版・夜のミステリー season1
    2. ロバートpresents聴くコント番組〜秋山第一ビルヂング〜
    3. UK vs US: Fancy an English Battle?
  • 総評:
  • 大賞の選考とエンタメ部門の選考でバランスをとるべきか悩みましたが、エンタメ部門ということで率直に楽しんで聴いた作品を選ばせていただきました。
    大賞と1位、2位が入れ替わっているのは、エンターテインメント性でいうと、夜のミステリーの方が聴いていてドキドキ、ワクワクしたからです。
    3位のUK vs US: Fancy an English Battle?は、ワンテーマの作品であるのにBGMやエコーの使い方、喋りの抑揚でリスナーを終始飽きさせないです。パーソナリティのお二人とスタッフの遊び心が満載で聴いていて楽しいです。英語は全然わからないですが、耳心地がよく繰り返し聴けますし、音の使い方に高いエンターテインメント性を感じました。
  • 石川 善樹 
    予防医学研究者/博士(医学)
    1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。公益財団法人Wellbeing for Planet Earth代表理事。「人がよく生きる(Good Life)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、概念進化論など。近著は、フルライフ(NewsPicks Publishing)、考え続ける力(ちくま新書)など。

    最終選考では「大賞」「ベスト パーソナリティ賞」「ベスト ナレッジ賞」の3部門を審査。
大賞
  • 1. ノウカノタネ
  • 農業という狭いテーマのように見えて、歴史や現代社会に連なるめちゃ広い話題を扱っている。テンポよく、まったり、ポンポンと話が進むので、理解がぐんぐん広がる。
  • 2. こんにちは未来
  • 文系の底力というか、「人文科学はすごいんだぞ」ということを痛感させられる。 
  • 3. 歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)
  • 我々はどこからきて、これからどこに行くのか、歴史を通じて学ぶことができる、もはや古典といってよい良コンテンツ。
  • 総評:
  • 個人的に超・気になったのが、「味な副音声」。聞いているだけで、こんなに美味しい気分にさせてくれるなんて!
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. マンガ760
    2. ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」
    3. ゆとりは笑ってバズりたい
  • 総評:
  • 1位:マンガ760
    ながら作業のBGMとして聞き始めるも、結局紹介されているマンガを読むことになる。

    2位:ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」
    自然な大人の会話って、こんな感じなんだろうな。そういう友達を持ちたいなと、個人的に憧れるお二人。

    3位:ゆとりは笑ってバズりたい
    聞くだけで元気になれる!
ベスト ナレッジ賞
  • 1. Researchat.fm
    2. コクヨ野外学習センター
    3. CULTIBASE Radio
  • 総評:
  • 情報は解釈してはじめてナレッジになる。つまり、同じ情報をベースにしながらも、ナレッジは多様なものになりえるということだ。今回ノミネートされた作品は、どれも「ナレッジ」として見事なものばかりで、耳だけでここまでわかりやすく学習できる時代になったのかと、あらためて驚いた。
  • 市川 紗椰 
    モデル
    愛知県名古屋市生まれ、アメリカ・デトロイトで育つ。 16歳の時にスカウトされモデルデビュー。鉄道、食べ歩き、地形、アニメ、相撲、美術、音楽など、 さまざまな分野のカルチャーに精通している。モデルとしてファッション誌で活躍する他、テレビ・ラジオなどにも多数出演。2020年3月、『鉄道について話した。』(集英社)を上梓。

    最終選考では「大賞」「ベスト パーソナリティ賞」「ベスト ナレッジ賞」の3部門を審査。
大賞
  • 1. 味な副音声〜voice of food〜
  • 平野さんの言葉選びや言語的センスがたまらないです。平野さんにしか表現できない食の描写に、「わかる!言語化してくれてありがとう!」と全力でうなずく時もあれば、愛が重すぎて「何言ってるんだ?!」と、新しい扉が開くときも。そういった「あるある」と「変態目線」のバランスがちょうど良いです。
    食を美味しい・楽しいだけでなく、食べ物を軸に社会を考えるお勉強の回もあり、食のいいところだけでなく課題もわかりやすく取り上げているところが共感できます。
  • 2. 歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)
  • 歴史をデータではなく、物語として紹介しているので、お勉強感なしで歴史を知れる。「点」ではなく、歴史の大きな流れを生きているものとして感じられるので、教科書の内容が今と地続きなのがよくわかり、現代の課題や本質を見ることもできます。パーソナリティの方々の事前準備を想像すると気が遠くなります。
    約30分ずつのパートに分かれていて、笑いも混ざっているのが隙間時間にちょうど良いと思いました。 
  • 3. TALK LIKE BEATS presented by Real Sound
  • 豪華ゲストたちがのびのびと長尺に得意分野をミクロかつマニアックに解説してくれる。日本の音楽界を牽引する方々が音楽の細部まで自由に語っていますが、こんなに長いトークはなかなか聴くチャンスがありませんでした。プロから見た「この音楽のここがすごい」をじっくり語ってくれるので、音楽を聞いているだけでは気づけないこだわりを知ることができました。
  • 総評:
  • アメリカやイギリスのものを中心に、約10年前からポッドキャストはほぼ毎日聞いていますが、私が求めるのは、新しい世界の扉を開いててくれる刺激と、友達といるような親密性のバランスだと思います。こっちの気分や心のチューニング次第でさまざまな感じ方ができるものが理想形の一つなので、そういった視点と、全体の完成度を鑑みました。
    今回選ばせて頂いた番組は、世間が求めている、とか、自分はこういう内容をやった方がいい、ではなく、純粋にやりたい番組内容を届けているような気がしました。ポッドキャストという自由度の高いメディアをこういったコンテンツが牽引してくれたら盛り上がると思いました。
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. ゆとりは笑ってバズりたい
    2. ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」
    3. kemioの耳そうじクラブ
  • 総評:
  • ●ゆとりは笑ってバズりたい
    友達にいたら最高、というかもう友達かも?!、とまで思わせる、理想のパーソナリティー。声も聞きやすく、カジュアルな内容の裏にある試行錯誤や情熱が滲み出てました。実際に自宅の布団の中から、お菓子を食べながら届けるコーナー等があり、ラジオではできない無いポッドキャストならではの発信や距離感に挑んでいる感じが素敵です。

    ●ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」
    TBSラジオでお馴染みの2人の、安定のフリートーク。テンポも見事で息がぴったりで、ずっと聴いてたいです。ガハガハ笑わせてくれる正直すぎるエピソードの端々に、急に人生を生き抜く金言が飛び出しグッと刺さります。
    ラジオもずっと聞いていますが、ラジオより素な2人に感激です。ラジオだと話せない話題もしばしば。ラジオがテレビでは聴けない話題や見られないタレントの素顔に触れることができるメデイアだとすると、ポッドキャストは、ラジオパーソナリティーの素を覗けるメディアである、とポッドキャストの可能性の一つを気づかせてくれました。

    ●kemioの耳そうじクラブ
    エネルギー満タンでハイペースだけど、言葉に無駄がなく、ゲストの方に丁寧にインタビューしていて素敵でした。ハイテンションで押し切るだけでなく、誠実な青年としての一面も見せてくれます。
    ながら聞きでもそばにあっても邪魔にならない、でもちゃんと聞くと引っかかる会話をしてくれていて寄り添ってくれる、音声メデイアのパーソナリティの理想の距離感の一つだと思いました。
ベスト ナレッジ賞
  • 1. Researchat.fm
    2. Good News for Cities〜都市に関する炉辺談話
    3. NOTSCHOOL
  • 総評:
  • ●Researchat.fm
    ニッチで難しいかと思いきや、論文解説やサイエンス系のニュースの解説がわかりやすく、雑談の間口が広いのでバイオロジーと縁がない私でもとても楽しめました。
    アメリカではメジャーなサイエンス系のポッドキャストが日本語では中々聴けないので、このジャンルが広がってくれると嬉しいです。

    ●Good News for Cities〜都市に関する炉辺談話
    私も都市やアーバンプランニングが大好きなので、仲間に出会えた気持ちで楽しく聞かせていただきました。切り口が様々なので、
    身近な場所やものについての気づかなったことに出会えるワクワクが詰まっています。知識欲が刺激されましたし、知っている場所を違った視点で見ることができました。
    お二人の落ち着きのある語り口が聞きやすかったです。

    ●NOTSCHOOL
    アドバイスやアイデアが具体的でロジカルなのが嬉しい。息詰まったら、NOTSCHOOLのお二人に聞いたらなんとかなる、お守り的な番組になれそう。
    隙間時間にちょうどいい速度感と情報量だから、いつでもどこでも聴けるポッドキャストにぴったり。前向きなエネルギーを感じられます
  • Photo: Shunichi Oda
  • 古田 大輔 
    ジャーナリスト/メディアコラボ代表
    福岡生まれ、早稲田大政経学部卒。2002年朝日新聞入社。社会部、アジア総局、シンガポール支局長などを経て帰国し、デジタル版編集を担当。2015年10月に退社し、BuzzFeed Japan創刊編集長に就任。2019年6月に独立し、株式会社メディアコラボを設立して代表取締役に就任。ジャーナリスト/メディアコンサルタントとして活動している。2020年秋にGoogle News Labティーチングフェローに就任。The Executive Program “News Innovation and Leadership” , Craig Newmark Graduate School of Journalism, CUNYに在籍中。その他の主な役職として、インターネットメディア協会理事、ファクトチェック・イニシアティブ理事、早稲田大院政治学研究科非常勤講師など。共著に「フェイクと憎悪」など。

    最終選考では「大賞」「ベスト パーソナリティ賞」「ベスト ナレッジ賞」の3部門を審査。
大賞
  • 1. 朝日新聞 ニュースの現場から
  • 「古巣だから」ではなく、毎日数百本の記事を出す新聞社内の人が選んだ、渾身の記事のさらに舞台裏を話すんだから、非常に面白く、中身が濃いです。
  • 2. 令和版・夜のミステリー season1
  • すいません、怖くて全部聞けません。それぐらい完成度が高い。音だけのドラマの方が想像力を刺激されますね。
  • 3. 三原勇希 x 田中宗一郎 POP LIFE:The Podcast
  • 中身が濃いだけじゃなく、緩さもあって親密感が強い。これがPodcastの魅力だな、と感じます。 
  • 総評:
  • 誰でも気軽に始められるのがPodcastの魅力の1つですが、人気が高まるにつれてコンテンツ製作のプロが楽屋トークではなく、本気の発信の場として活用するケースが増えてきましたね。1位に押した「朝日新聞 ニュースの現場から」もその1つ。こういう流れが先行したアメリカでは、新聞社が臨場感満点の記事解説や、その日のニュースを過不足なく伝えるPodcastが人気で、そうなっていくのかな、と感じさせます。

    一方で耳元で声が聞ける音声メディアの独特な「親密さ」もやはり魅力の1つ。3位に押した「POP LIFE」はその両方を兼ね備えていると思います。昨年に続いてのエントリーとなった「ノウカノタネ」など、現場の人が本音を語る系なども変わらぬ面白さ。多様なコンテンツが共存共栄で、音声プラットフォームの魅力が増しています。
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」
    2. シノブとナルミの毒舌アメリカンライフ
    3. kemioの耳そうじクラブ
  • 総評:
  • ジェーン・スーさんと堀井美香さんの「OVER THE SUN」。ラジオでもPodCastでも、面白い二人はどこでも面白いし、声も掛け合いも取り上げるトピックも長さも、何もかも音声メディアが特に向いている気がして、開始と同時に人気が出るのも頷けます。

    kemioさんの耳そうじクラブは、kemioさんとゲストの仲の良さが伝わってきて、すごく真面目な話題を取り上げているときも、信頼して聞ける感覚があります。

    そして、シノブとナルミの毒舌アメリカンライフ。なんなんだろう。聞いているだけで会ったこともないのに、なぜか昔から知っている人の会話を一緒に聞いている気分にさせる。これが音声メディアのパーソナリティの強みにする特性の一つなんですね。
ベスト ナレッジ賞
  • 1. Researchat.fm
    2. Good News for Cities〜都市に関する炉辺談話
    3. コクヨ野外学習センター
  • 総評:
  • ナレッジ部門となると、「お勉強感」が強いものが出てくるかな、と思っていたら、良い意味で裏切られました。専門性がある人達が、専門性がある人達同士で、普段の会話の延長線上で、しかもリスナーにもわかりやすく話してくれる。

    ニュースメディアの運営に携わってきた人間として、よく「どんなニュースメディアが理想か」を聞くと、特にミレニアルやZ世代からは「上から目線は嫌だ」という声が出てきます。1位のResearchat.fmも2位のGood News for Citiesも自分たちの好きな話題を話しているという感じが滲みでてて、とても親しみやすかったです。

    3位のコクヨ野外学習センターは「親しみやすさ」みたいなアプローチじゃなくて、なるほど、こういう切り口で、こういう深みのある話があるのか、というところに学びの面白さを感じることができて、まさにナレッジ部門にふさわしいと感じました。
  • 美村 里江 
    女優/エッセイスト
    1984年、埼玉県深谷市出身。2003年にドラマ『ビギナー』で主演デビュー。ドラマ・映画・舞台・CMなど幅広く活躍。近年の出演作は『青天を衝け』『華麗なる一族』『大岡越前』『MIU404』映画『空に住む』など。また、読書家としても知られ、新聞や雑誌などでエッセイや書評の執筆活動も行い、複数のコラムを連載中。近著には初の歌集『たん・たんか・たん』(青土社)など。2018年3月に「ミムラ」から改名。

    最終選考では「大賞」「ベスト パーソナリティ賞」「ベスト ナレッジ賞」の3部門を審査。
大賞
  • 1. 歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)
  • 「知る」ことの興奮が詰まっていて聞きごたえがありました。情報量が多いのに重くならないのは、発信者の皆さんが楽しまれているからでしょうか。「不動明王はウイルスバスター」など、トリガーになるワードも多く終始ワクワクしました。
  • 2. 令和版・夜のミステリー season1
  • ホラー映画・小説が大好きなんですが、耳で恐怖に集中する時間もいいですね!自由度の高いフリートーク群の中できちんと「作ってある」点も、逆に心地よかったです。導入と結末に案内人がいる古典的な構成も「これこれ」感があって、さすが老舗番組の令和版でした。
  • 3. 味な副音声〜voice of food〜
  • お一人で語られている「定食」の回が特に魅力的でした。混み合ったお店で隣りに座って食べ物への愛を聞いている感じ。表現が多彩でおいしい実感がこもっていて飯テロ……と思いきや、聞いた後は幸せな満足感に浸れる感覚が独自色と思います。
  • 総評:
  • 選出作の共通点は発信側が楽しそうであるかという部分も大きかったです。「cotenRADIO」「味の副音声」は方向は違いますが内部から熱量が感じられ、「夜のミステリー」はホラー・怪談好きな制作者の愛情を感じました。
    また、朝と昼と夜、違う時間帯にもそれぞれの作品を聴いてみたのですが、選出作はどれも圧倒的に「夜、一人で、ながら作業ではなく聞くために聞きたい」と感じました。これは個人的に一番リラックスできる状態だからと思います。

    その他、、、私は怖い系に慣れてますが「デスラジオ」は苦手な人が聞いても、CATさんの声の可愛らしさでうっかり全部聴いてしまいそうなアンバランスさがよかったです。「こんにちは未来」のお二人のフリートークも本音で話している感じが強く、つられてこちらもゆるゆると考えが進みました。拝聴していて一番笑ったのはロバートさんの「秋山第一ビルヂング」でしたが、映像でもはっきりと浮かんでくる楽しさだったので、今回はそうではない「音から感じる未定部分を自分で楽しむ感覚の作品」を基準にして選ばさせて頂きました。

    映像畑で仕事をしていると(特に最近は)無作為な「間」はご法度に近いですが、音声コンテンツは余白こそが魅力だなぁと感じました。こちらの思考が膨らんだり発信側の会話が立体的になっていく、音声の持つ「1秒」の重量をそれぞれ心地よく受けました。
ベスト パーソナリティ賞
  • 1. ゆとりは笑ってバズりたい
    2. マンガ760
    3. シノブとナルミの毒舌アメリカンライフ
  • 総評:
  • 「ゆとりは笑ってバズりたい」1.3倍速?という快速で、学年男女混合で一番面白い子の話を聞いてる!という感じ、、、これはなかなか他では得難いものがあり、どんな方か気になってツイッターまで読み漁ってしまいました。笑い部分だけでなく構成力や声も素敵です。

    「マンガ760」漫画大好きなので夜更けに少しずつムフムフ笑いながら聞きました。有名作もいいですが、自己紹介の回と打ち切り作品についての回が特に面白かったです。言葉を扱うご職業柄比喩などお上手で、ゆるめの関西弁が心地よかったです。

    「シノブとナルミの毒舌アメリカンライフ」役者の悪癖で、つい人間観察の延長でカフェなどで近くの席の会話を耳に吸収してしまうのですが、まさにその感じで!補正のないリアルな外国生活を聞けて、二カ国語スイッチする楽しさと情報量に大満足です。

    「ジェーン・スーと堀井美香の「Over the SUN」」からもたっぷりの笑いと心持ちの学びを頂きましたが、初めて聞くパーソナリティの方を優先に選びました。
ベスト ナレッジ賞
  • 1. Good News for Cities~都市に関する炉辺談話
    2. Researchat.fm
    3. コクヨ野外学習センター
  • 総評:
  • 「Good News for Cities~都市に関する炉辺談話」「都市」という身近かつ巨大すぎて捉えにくい部分を、色々なマクロ視点で分解していくのが楽しかったです。都市の持つ懐深さ、生活形態や年代によって正解が違うこと、当たり前とされていることをもう一段階深く納得した上で、色々な希望が湧いてくるように感じました。

    「Researchat.fm」夫が医学・理学の博士なので理系の話を聞くが大好きなんですが、不特定多数のリスナーにわかりやすく話すのは大変なご苦労があられるでしょう。専門性のある話以外に、マンガ・ゲームその他ゆるい雑談部分にもいつの間にか分析的な目線が入ってきて楽しいです。

    「コクヨ野外学習センター」SNSは公私ともやっていないのですが、外国の騙し合いのビジネスの話などから別の見解を得られました。是非を迫られる身近な話として詰めて聞くより、野外で、風通しよく聞く方のは身につくコツかもしれないなと面白く感じました。
Spotify NEXT クリエイター賞
  • ■ Off Topic // オフトピック
    ■ 奇奇怪怪明解事典
    ■ ノウカノタネ

  • スポティファイジャパン株式会社
    音声コンテンツ事業統括 西ちえこ

    「Japan Podcast Awards 2020」の開催おめでとうございます。日本でもこの一年で音声メディアへの関心が急速に高まってきたことを実感しており、また昨年にも増し多くのご応募をいただき嬉しく思います。

    Spotifyは、音楽やポッドキャストなどのお気に入りのオーディオコンテンツをいつでもどこでも楽しむことができ、また個人最適化されたリスニング体験を通じてリスナーとクリエイターとの出会いを創出するストリーミングサービスです。特にポッドキャストについてはその可能性を確信し、世界中でコンテンツ拡充、ユーザー体験の向上、クリエイター支援に大きく投資し、市場の成長に貢献してまいりました。

    日本でもポッドキャストの普及には、多くのクリエイターが作品を発表し、これらがリスナーに見出され、支持を広げていくことが不可欠との考えから、才能あるクリエイターを発掘し、データやナレッジ、プロモーション機会を提供することで彼らがキャリア基盤を確立できるようにサポートする「クリエイター・サポート・プログラム」を立ち上げました。この一環として、今回「Japan Podcast Awards」内に「Spotify NEXT クリエイター賞」を新設しました。次の世代を担う才能あるクリエイターにいち早く脚光を当て、彼らを支援していく所存です。

    今年の「Spotify NEXT クリエイター賞」は、Spotify上でのリスニングデータとエディターの専門的視点の双方から、特に将来性に期待する3作品を選ばせていただきました。

    『Off Topic』は世界のスタートアップ情報を独自のアンテナでいち早くピックアップし、noteやSNS なども積極的に活用して発信する新しい時代のクリエイター像を評価しました。『奇奇怪怪明解辞典』は、Spotifyで人気のカルチャートークをアーティストであるホスト二人が自由に展開し、リスナーの聴取時間も大変長い点に着目しました。また現役農家ならではの視点から農業や日本社会を語る『ノウカノタネ』は、農系ポッドキャストという新たなカテゴリーを他のポッドキャスターと積極的に交流しながら切り拓き、次世代を担うクリエイターとしての可能性を感じました。

    多くの才能あるクリエイターが作品への対価を得、また多くのファンがその作品を楽しみ、インスピレーションを受けることで、人間のクリエイティビティを解き放つことこそがSpotifyのミッションです。音楽で取り組んできたように、ポッドキャストでもこの実現を目指しています。今回受賞された皆さんがクリエイターとして次のステージへステップアップできるよう、今後もサポートしていきたいと思います。